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腎臓内科

腎臓内科について

腎臓は尿を生成排泄することで体のバランスを保っています.水分量の調節,老廃物の排泄,ミネラル(電解質)の調節,酸・アルカリバランスの是正,赤血球産生ホルモンの分泌,骨代謝の制御,血圧調整に係わるホルモンの分泌を腎臓は担っています.腎臓病にならないためには,生活習慣の是正と,糖尿病・高血圧症・脂質異常症などの生活習慣病の管理,適切な体重の維持が望ましいとされています.腎臓病は尿検査異常(尿蛋白,尿潜血等)とクレアチニンに代表される血液異常で見つかります.

腎臓病の早期発見

健診を活用し,採尿採血にて尿蛋白・尿潜血,血清クレアチン,eGFRにより腎臓病を出来るだけ早期に発見しましょう.腎臓病の原因は,糸球体腎炎・間質性腎炎,ネフローゼ症候群などの腎臓原発性疾患や,関節リウマチや全身性エリテマトーデス等の膠原病,糖尿病等の代謝性病変,良性腎硬化症等の血管系腎障害に代表される続発性疾患などがあります.

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腎臓病を見つけるためには,尿検査と血液検査を行います.腎臓病を疑う尿所見として代表的なのが,尿蛋白と尿潜血です.血液検査では血清クレアチニンがよく用いられます.その血清クレアチニンと性,年齢でeGFRという腎臓の元気さを推定する値を計算し,そのeGFRと尿蛋白の量で腎臓病の程度を確認します.

腎臓病の程度は,尿蛋白とeGFRでチェックしますが,なぜ腎臓が悪くなったか?は腎臓専門医が様々な検査を行い診断していきます.採血,採尿,腹部エコーや腹部CTなどは侵襲の少ない検査ですが,確定診断に腎生検という腎臓の細胞を採取する検査が必要となる場合があります.腎臓は非常に血流の多い臓器ですので,腎臓から組織を採る腎生検は合併症の懸念から入院で行います.医療機関で違いはありますが,検査入院期間はおよそ4日~7日間です.

POINT

腎生検の必要性・方法

腎臓病の治療

腎臓病の検査診断治療の流れとしては,尿や血液の異常で専門医を受診し,詳細な尿検査・血液検査を追加し,必要時には入院にて腎生検を行い,原疾患を確定診断します.原疾患の治療を開始し,合併症に応じて糖尿病管理,血圧管理,脂質管理も追加します.原疾患の加療および生活習慣病管理を継続するにもかかわらず,徐々に腎臓が悪くなった場合は,先ほどの腎臓の働きが低下していきます.むくみ,尿毒素の貯留,ミネラルバランス異常,酸の蓄積,貧血の進行,骨バランスの破綻(血清リンの増加),高血圧などが出現します.それらを一つ一つ管理することにより慢性腎臓病悪化の抑制を目指します.治療継続するも腎機能が悪化進行する方もおられます.その方々に,腎代替療法である血液透析,腹膜透析,移植(生体・献腎)のそれぞれの特性を提示し,その患者様に適した加療を,適した時期に移行できるよう心がけています.

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腎臓病の治療は,食事療法,運動療法,薬物療法です.腎臓病の原因がわかれば,原疾患の治療を行い,血圧管理や,コレステロールの管理も行います.腎臓病のある方は,腎臓が働かなくなり,腎臓の代わりの治療である,腎代替療法が必要になる可能性が高いだけでなく,脳や心臓の病気を併発しやすいので,血圧・コレステロールの管理も必要になります.

腎臓病が進行していくと,腎臓本来の仕事である,水分バランス,尿毒素の除去,ミネラルバランス,酸アルカリバランス,造血,骨のバランス,血圧調整などができなくなり,それらすべてを調整していく慢性腎臓病加療が必要になります.原疾患の治療も腎臓病の進展に合わせて変更していき,慢性腎臓病加療を行ったとしても,腎臓病が進行することがあります.その場合は腎臓の代わりの治療を選択し準備していきます.

POINT

腎臓病の治療法

慢性腎臓病重症度分類

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慢性腎臓病重症度分類と加療

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参考:日腎会誌 2016;58(4):429-475

ナトリウム/グルコース共輸送体2阻害薬

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ナトリウム/グルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2阻害薬)は糖尿病のお薬として開発されました.それらのお薬を使用して行われた大規模臨床試験の解析結果から,心血管および腎保護効果が明らかになりました.それにより本邦において,一部のSGLT2阻害薬に慢性心不全と慢性腎臓病への保険適応が承認されました.慢性腎臓病治療に光明をもたらす素晴らしいニュースです

POINT

腎臓病の新しい治療薬

腎代替療法

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POINT

腎臓が働かなくなった時の対応

腎臓はおしっこを作る臓器です.様々な原因で腎臓が障害されその機能を失うと尿が作れなくなります.老廃物の排出障害,むくみ,ミネラル異常,酸の蓄積,貧血の進行,骨のバランス崩壊,血圧異常など様々な障害が出現します.腎機能障害が進行していくと腎臓の代わりになる治療を決めます.血清クレアチニン濃度が高くなると(5以上の場合が多い),腎臓の代わりになる治療には何があるのか,それらの違いは何かなどを「腎不全 治療選択とその実際」という冊子を参照にしながらお話しし決めていきます.腎臓の代わりの治療は,移植・透析があります.移植には生体腎移植と献腎移植があり,透析には血液透析と腹膜透析があります.それぞれの特性をお話しし,患者さんにどの治療があっているか皆で話し合いきめていきます.それら治療は決めたからと言ってすぐにできる治療ではありません.例えば生体腎移植では,患者さん自身,かつ臓器提供いただくドナーさんの健康状態の把握が必要です.血液透析は透析に必要なシャント血管の造設術が必要となり,腹膜透析では透析に必要な腹膜透析カテーテルの腹腔内挿入術が必要となります.透析が必要となる時期は,患者さんそれぞれで違いますが,血清クレアチニン8以上になると始めることが多いので,準備してから治療開始までに時間が必要ですので,事前に計画的に治療選択,腎代替療法の準備をしていきます.

比較表

これらの説明や比較の表をご覧になったうえで、担当の医師とも相談し、自分に最もあった治療法を考えていってみてください。

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新型コロナウイルス感染症と慢性腎臓病

新型コロナウイルス感染症の重症化リスクの中に,慢性腎臓病が含まれています.感染前から慢性腎臓病がある方と病気がない方を比較すると,感染による入院,人工呼吸器使用,全死亡すべてにおいて,慢性腎臓病の方が有意に増加していたとの報告があります(Pakhchanian H, et al. Clin J Am Soc Nephrol 2021;16:785-786).

加齢のほか,肥満,糖尿病などが発症に深く関与する慢性腎臓病患者では,複数の重症化リスクを有することが多く,標準的な感染予防策とともに,慢性腎臓病の重症化を予防するための普段の治療を適切に継続することが重要であるとされています(日腎会誌 2021;63(5):559‒564).

尿中L-FABPとeGFRの関係性について

社会医療法人医真会グループでの臨床研究からなる医学論文「Association of urinary liver-type fatty acid-binding protein with renal functions and antihyperglycemic drug use in type 2 diabetic nephropathy patients.」が,International Urology and Nephrologyに掲載されました.
論文の要旨;腎障害の程度を表す臨床検査指標として,血液検査では血清クレアチニンや,性別・年齢・血清クレアチニンから算出される推算糸球体濾過量(eGFR)がよく知られています.尿所見も腎障害の指標として用いられており,血液を濾し出す働きがある糸球体の障害として蛋白尿やアルブミン尿が知られています.原尿を作り出す尿細管の障害として尿中L型脂肪酸結合蛋白(尿中L-FABP)が注目され,本邦においても一部の腎障害で保険診療が認められています.2型糖尿病患者さんにおいて,蛋白尿・アルブミン尿とeGFRに関連があることはよく知られていますが,尿中L-FABPとeGFRの関係はまだわからないことが多くあります.この研究結果では,尿中L-FABPはeGFRと相関しており,eGFRの低下とも関連性が認められました.またSGLT2阻害薬の使用にて尿中L-FABPが変化していました.後方視的な研究であり,より精度の高い臨床研究の結果が望まれますが,今後の糖尿病診療に参考となる結果であると考えております.

腎臓病対策

慢性腎臓病の患者さんを対象に, 原疾患の管理, 慢性腎臓病の進行予防, また適切な時期での腎代替療法の選択と移行を目的に, 腎臓病外来を用意しています. 管理栄養士, 看護師, 医師からなるチームにより療養指導を行い, 腎臓病進行予防を行います. 腎代替療法が必要になった場合には, 血液浄化, 腹膜透析, 腎移植それぞれの特性を各専門職の立場から説明し, 患者さんご家族と共に適切な治療法を選択します. 糖尿病の方は糖尿病透析予防外来, 糖尿病の無い腎臓病の方は慢性腎臓病透析予防外来とします.

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